処方された抗うつ剤の副作用なのか、体が鉛のように重いという症状を訴える。
相変わらず、布団の上で横たわっている日々。
死にたくなると口にし、ベランダで下を見下ろしながらタバコを吸う姿をよく見るようになった。
我が家はマンションの8階なので、いつか飛んでしまうのではと気が気でない。できるだけ目を離さず、一緒にベランダでタバコを吸って話したりした。
ちょうど同時期、アナウンサーが練炭で自殺したというニュースが報道され、このニュースにどうしても反応してしまうのだと話していた。
ネットで練炭を注文したと聞いたのは、その数日後だった。とにかく阻止せねば、と思い、商品が届く当日は家にいて私が受け取った。幸い、そのとき彼は眠っていたので気づかれずに済んだ。受け取った練炭はとりあえず紙袋をかぶせて押し入れの奥に隠しこんだ。
それから約2週間後のある日、朝起きると隣に寝ていたはずのダンナがいない。
嫌な予感がしてまずベランダをチェックした。が特に異変はなかった。
風呂場になぜかガムテープが散らかっている。覗いてみると浴槽に布団を敷き眠り込んでいるダンナを発見した。洗い場には鍋に入れた練炭を燃やした跡。独特の炭の臭い。
慌ててダンナを叩き起こした。何を話したのかあまり覚えていない。
とりあえず、「お前アホか!」と怒鳴ったような気がする。
注文した練炭が届かなかったので不着事故と思い、また注文したのだそうだ。
とりあえず意識はあるし命に別状はなく、ほっとした。
睡眠薬を多量に飲んだらしく、その日はほとんど眠っていた。
その間に片付けを済ませ、2度目に届いた練炭は捨てに行った。
その後も自殺念慮は治まらず、自分をどこかに監禁してほしいと言い出した。
次の診察では、本人の希望もあり、自宅から近い専門病院に翌日から入院する段取りをしてもらった。
入院することが本当に必要なのか、考えてもよくわからなかった。
ただ、私も仕事で外出しなければならないし、自殺の危険性を考えると、
入院という選択肢は間違っていないように思えた。
入院が決まって、彼自身も少し安堵しているように見えた。
なんだか遠足の準備みたいに、少しはしゃぎながら着替えや生活用品を二人で用意した。
よくわからないけど、ほんのちょっとは前に進んだような気がした。
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